私が落としたカギを、運良く妹が拾ってくれた。

妹が急に、週末に父の車を使いたいと言い出し、その前から使う約束を父としていた私とケンカになりました。

妹曰く、父の車を借りる権利は娘たち皆にあるのに、いつも長女である私が彼氏とのデートに使っている。たまに使いたい用事ができた妹に、譲ってくれてもいいではないかというものでした。それでも私にしてみれば、もっと前から言っておけばよい物を、あとから急に言い出して車を譲れなんて、横暴以外の何物でもないと思ったのです。話は平行線のまま、朝は喧嘩別れでそれぞれ出勤しました。そんなことがあったので、その日1日私は気分が悪く、そんな気分の時は不運を呼ぶもので、帰宅時に私は、自転車の鍵を失くしたことに気が付きました。

鍵がなければ自転車に乗れず、片道20分強の自宅まで歩いて帰らなければいけません。自転車置き場の料金も、日付をまたぐと延滞料がかかります。明日の引き取りになれば、約3日分の駐輪料が取られるのです。そして何よりイタイのは、自転車の鍵につけていたキーホルダーです。それは小学生の頃から大切にしているキーホルダーで、愛着があり、それを落としてしまったというのがショックでなりません。どこで鍵を落としたのか、思い出そうとしても心当たりがありません。考えられるのは鍵を取り扱ったこの駐輪場周辺。ここから駅まで少し、更に駅のホームなどが考えられるでしょうか。小さな鍵を見つけるのは、容易なことではありません。

駐輪場の自分の自転車の前で途方にくれていると、後ろから肩を叩かれました。振り返ると妹です。朝と同じく不機嫌そうな顔でこちらを見ている妹が、自分の手を私の目の高さにあげました。その手には、なんと私が落とした自転車の鍵が握られているではありませんか。私が落としたカギを、運良く妹が拾ってくれたのです。感激のあまり涙ぐんでしまい、もちろん週末の父の自動車の使用権は、妹に譲ることに決めました。